３Z　

たくさんの思い出がつまった、大切な我が家。
築40年を越えた頃から、「いつかリノベーションを」と、少しずつ暮らしのかたちを思い描いていた施主様。
そんな想いが、少しずつ現実味を帯びていったのは、ある年の冬のことでした。

築45年の家は断熱性能が不十分で、寝室として使っていた1階の和室は底冷えするような寒さに。
日々の疲れを癒すはずの空間が、いつしか“眠ることさえつらい場所”になっていたのです。

「心と体を整え、安心して過ごせる場所をつくりたい」
そうして始まったリノベーションでは、10畳の和室だった部屋を洋室へと一新。
寝室・書斎・クローゼット・トイレ・洗面をひと続きにまとめ、心地よく機能的なプライベート空間が生まれました。

また、性能面にもこだわり、内窓や熱交換型換気扇を導入。
さらに天井に埋め込んだナノイー発生機によって、空気と温度がやさしく整い、深呼吸したくなるような快適な空間になりました。

内装は、施主様お気に入りのカフェをイメージして。
ウォルナットの家具とブラウンのフォグタイルが落ち着きを添え、好きなものに囲まれる豊かさが空間にしっかりと息づいています。

リノベ前、収納として使っていた棚は、配置や使い方を工夫することで新しい役割をまとい、まるでこの空間のために仕立てたかのように自然に馴染みました。
「好き」を軸に選び取ることで、以前から大切にしてきたものと、新しく加わったものが、違和感なく響き合う——
そんな気づきも、このリノベーションの魅力のひとつでした。

窓の外には、やわらかな光と、季節ごとに移ろう草花、そして青く澄んだ空。
この空間には、毎日の喧騒からふと離れて、深く立ち戻れる場所があります。

施主様にとって、ここが“心から安心できる場所”になっていたら——
それは、私たちにとっても何よりの喜びです。