動く家

1993年製、キャンピングカーのリノベーションプロジェクト。

コロナによる外出制限が徐々に緩和され、人々が外出する日常が戻ってきた。

施主は元々、サーフィンやキャンプを趣味にしており、郊外にセカンドハウスの購入を検討していた。
“キャンピングカーを家のようにリノベすることは出来ますか？もし出来るのであれば、僕はキャンピングカーを購入します”
という問い合わせからこのプロジェクトが始まった。

このプロジェクトを始める際、私たちはこの物件を単なるキャンピングカーではなく、”動く家”として再定義した。
内装には普段の住宅のリノベーションで採用しているような無垢の床や塗装の壁等、質感の良い仕様や仕上げを採用。
いわゆる通常のキャンピングカーっぽさ、アウトドアっぽさを避け、自分の好きなインテリアに囲まれた、家の中で過ごすのと同等の快適さが得られる空間を目指した。

もちろん通常の住宅とは異なり、広さにかなりの制限がある。
そのため、既存のキャンピングカーにあるような、ソファセットをベッド化出来るようなギミックは生かし、快適に暮らすことが出来る間取りとした。

窓で切り取る景色が変わるたび、この部屋は違う空間へと変わって行く。
非日常な場所で、日常の生活を送る。
働き方や暮らし方が多様化する現代において、新しい暮らしの選択肢のひとつになる、かもしれない。